312 甫与志岳 黒尊岳

甫与志と黒尊岳マップ南九州は神話が色濃く残る地です。甫与志とは「ほよし」と呼びますが、これは山幸彦と玉依姫の子であるウガヤフキアエズ命(神武天皇の父君)を養育したとの伝承からきているという説があり、哺育の甫であるというわけです。

一方黒尊岳は天孫ニニギ命(ミコト)の妃であるコノハナノサクヤヒメの姉君であるイワナガヒメを祀っているとのことです。黒尊岳の西側に神岩の懐に祀られている祠の面影は宮崎県西都市銀鏡地区の龍房山に祀られている祠と通じるものがありました。この龍房山の祠もイワナガヒメが祀られていることで有名です。イワナガヒメは言わずと知れた長寿の神様です。オオヤマズミ命の要請であるところのコノハナノサクヤヒメと共にイワナガヒメを娶ることを拒否した天孫ニニギは死ぬ可能性を得ることになりました。長寿より妹の美貌を選んだ訳です。いわゆる神から人間へと変化できたので、その後の歴史に名を残せたと言えます。いわゆる神の人への変化(決して堕落ではない)が日本文化の礎となり、神も人間も一緒だという共通認識を得て、共にたゆまぬ努力で日本を支えてきたのだと思います。

ニニギ以降の天孫族は山の支配者、海の支配者達と交わりながら力を蓄えながら東征を果たし大和王朝となったのは、先程申したように神が人間宣言をしたおかげだと感じられます。そういう意味で西洋の神観とは正反対なのが面白いと思うのですが如何でしょう。

黒尊岳下には赤い鳥居があって、頭を下げ入る時にこう考えました。「おそらく江戸時代から続くこの祠を誰が最初に祀ったのだろう?それはもちろん200年以上も前のことで知る由もないが、地域の人々に大事に伝承されている有形無形の歴史こそが明日への活力になるのではないか」と。基本、祠は人々の幸せを願って設置されるものですからね、先人の幸福感を大事にしたいと思いました。

さてさて、本題の登山の感想です。標高1,000M以下は低山の部類ですよね。低山の特徴は樹木が自己を主張していて登山者の視界を遮ることです。自ずと肝属山系の山々も同じことです。登山の楽しみはパノラマ的な景色を堪能するというステレオタイプ的な表現がありますが、そんなにいつもお天気が良い訳ではないというのが本当の姿です。雨が降らない限り、私が毎週お山に入って命の洗濯をしているのはランドスケープを求めているのではないとうことはお判り頂けると思います。登山者にとって何が大切かと申せば、お山に合わせた楽しみ方を会得するということでしょうか。

例えばこの肝属山系の1,000Mが連なる山々を国見平から甫与志岳へと縦走するのなら、枝払いとか強いられ、かなりストレスがたまりますので心づもりが必要かと予想されます。それに打ち勝ち苦しみを喜びに換える知恵が必要だと思います。例えば樹相を感じながら山に登ると天気が悪い時でも、景色を味わうよりも数段面白い体験ができます。

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2 thoughts on “312 甫与志岳 黒尊岳

  1. 初めまして  時々立ち寄らせて頂いています
    一度お目にかかり、山の達人だ!と勝手に尊敬してきましたw
    読ませて頂いているお礼に、ご参考までに写真の花の名前を

    シキミはミヤマシキミのほうで、もう一枚は察するにイヌガシかと
    思います  
    これからも拝読させてくださいね

    • 「一位樫」とは素敵な名前ですね。教えていただいてありがとうございます。知っているといないとでは山を愛する者として雲泥の差だと思います。心から感謝を申し上げます。
      一度お会いした方みたいですね。今後もよろしくお願いします。

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